History Part.3 三嶋隆夫 物語 Part.3

気持ちの入ったものを作る それが原点です。

狭い厨房にスタッフがひしめきあって仕事していた移転前の16区。もっといい仕事がしたい、よりおいしいお菓子をお客様にお届けしたいという思いから、三嶋隆夫は「パティシエとして誇りの持てる、衛生的で仕事しやすい厨房をつくる」ことを決意します。そして始まった自社ビル建設。三嶋の徹底したこだわりは、建築家を驚かせるものでした。

三嶋の理想とするイメージを現実にした厨房づくり

自社ビル建設を決心した三嶋は、仕事の合間を縫い、一年かけて全国の有名菓子店を訪ね歩きました。「これは」と思える部分や実際にそこで働くパティシエたちの声からも、新しい発想やイメージをふくらませていったのです。ワークテーブルの脚を30センチ上げて掃除しやすくする。冷蔵庫や冷凍庫、ショーケースの室外機を別室に隔離し、バクテリアを増殖させる温風をシャットアウトする。壁と天井の角にアール(丸み)をつけホコリがたまりにくくする…。そんな三嶋のこだわりを建築家にぶつけ、検討を重ねました。さらに、仕事場に取り込む濾過した清浄な空気には圧力をかけ、処理していない空気が入り込めないように工夫。三嶋が理想とする山頂の厨房のような、清潔な仕事場づくりを目指したのです。

新店舗が大きくひろげたお菓子のバラエティ

1991年、三嶋の思いの結晶である16区ビルが完成。移転オープンには多くのお客様にお越しいただきました。店舗が移転して変わったこと。それは厨房や店舗面積だけではありません。「前の店ではショーケースに余裕がなくて出せないお菓子も多かった。それが新店舗になってバラエティを増やすことができた。それに季節感のあるお菓子をいろいろ出せるようになりました」。三嶋の言葉通り、現在16区には旬の素材や行事を取り入れたお菓子が多彩に揃っています。これからの季節はビュッシュ・ド・ノエルやシュトーレン、黒豆のクーグロフ、ギャレット・デ・ロワなど、クリスマスと年末年始を華やかに彩るお菓子がお目見えします。

オーナーシェフ 三嶋

移転オープン当時の16区

スタッフのための仕事しやすい環境づくり

三嶋隆夫らしさ。それは、店舗のみならず16区ビル全体に貫かれています。そのひとつが、4階にあります。このフロアには社員食堂があり、管理栄養士が作ったバランスのとれたメニューが毎日昼夜2食、パティシエたちに供されています。 「おいしいお菓子を作るためには、まず仕事しやすい環境を整えることが大事。若いスタッフも多いので、健康のことも考慮しました」。食堂で供される温かい食事と、三嶋を中心に家族のようにまとまったスタッフの気持ちが16区の味を支えています。

社員食堂

レシピを求めてやってきたフランスからのお客様

1995年の秋、16区にフランスから突然のお客様が訪ねて来ました。その人の名はミッシェル・ギャロワイエ(Michel.Galloyer)。アンジェの菓子店『ル・トリアノン』のオーナーシェフです。彼は対応した三嶋に開口一番、こう言いました。「ダックワーズの作り方を教えてほしい」。三嶋の考案したダックワーズの評判は、すでにフランスにも及び、その味に惚れ込んだギャロワイエ氏は、はるばる福岡へやって来たのです。三嶋は快諾してレシピをきちんと教えその代わりに次のような交換条件を出しました。「うちのパティシエをそちらの店でしばらく働かせてほしい」。その翌年、1名が渡仏。『ル・トリアノン』で修業しました。スタッフに勉強しやすい環境を作る、ということも三嶋の命題のひとつです。

多店舗化せず一店のみにこだわる理由

「16区は支店を出さないのですか?」お客様からそんなご質問をいただくことがあります。それについて三嶋はこう答えます。「イベントなどで短期間デパートに出店することはありますが、多店舗化するとすべてのお菓子に目が届かなくなります。例えば16区の焼菓子はほとんど脱酸素剤を使用していません。毎日焼いているから、入れる必要がないのです。常に焼きたて、出来たてをお出しするというのは16区の基本です。それを守るためには、お菓子を焼くタイミングなどの目配りが欠かせない。僕はいつも気持ちが入ったお菓子をお出ししたいのです」。1981年以来長いようで短い時間は、妥協をしない三嶋のこだわりの積み重ねでもあるのです。

ギャロワイエ氏

三嶋が考案したダックワーズ

移転したころの朝礼風景

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